白内障ものがたり③知らない、おばさん

若年性白内障

前回のあらすじ

2年ぶりに訪れた眼科で左目に外傷性白内障が見つかり、2回目の受診時に手術にむけた下準備として、点眼薬で瞳孔をかっぴらき、精密眼底検査を受けたところ、目の奥にはほかに特に異常が見つからなかったので、少しほっとしてK大病院宛ての紹介状を受け取り、颯爽と日が暮れだして明かりのきらめく街を、瞳孔を開いたまま帰路についたのであった…

眼科の先生には

<strong>医師</strong>
医師

この紹介状を持ってK大病院の受付に行ってくださいね!

と言われていたのですが、私のこれまでの経験上、病院に紹介状を出すときには、紹介元の医療機関から、紹介先の病院と電話やFAXなどでやりとりをして、患者さんの初診日時を確定のうえで、紹介状を渡してもらう、というのが常だったので、K大病院のホームページを見ても、さきほどのやり方と同じ手順を踏むよう、紹介元の医療機関に呼びかける案内が書いてありました

なので念のため、眼科に後日電話をして、初診日は取ってもらえないのかと確認したところ、先日、先生が申し上げた通り、ご自身の都合の良い日に紹介状を持って受付をすませていただければ大丈夫です、という返答でした

急ぐ必要性のない白内障などの病気だとそういうものなのでしょうか?

コンタクトの外来を主にされている眼科だったから、そういう対応だったのでしょうか?

言われた通り、前もって病院に連絡を入れずに訪れた、朝一番の外来受付では、特に問題なく紹介状を受け取って、無事に処理していただけました

大変些細な事ではありますが、慣れない事なので、不安になる出来事でした

病院側にも電話をかけておいたらおそらく先に安心できたと思うのですが、あまりに些細な事すぎるのではなかろうかと、申し訳なさが先に立ったのでかけられませんでした

35歳になってもリトルチキンハートで困ります

K大病院は朝8時15分から外来受付が始まります

なので8時前には病院内に入って、まず手の消毒後、発熱モニターで発熱がないかチェックされたあと、コロナの疑いがないかの問診表を渡されて記入しました

受付ロビーがとても広くて、1学年2クラスの小学校ならここで全校集会できそうだなと思いながら、こういうことでもないと入る事が出来ない、大きな施設内の設備の色々を眺めていたら、時間が来て、受付開始についてのアナウンスが流れるのとほぼ同じタイミングで、周りにいた人たちがぞろぞろ動きだして、自動再来受付機の前に列ができたり、再来受付のカウンター前に並んだりしはじめました

私は初めてなので、新来受付に並びました

その時点で、ロビーにめちゃめちゃ人いるし、結構並ぶのかなと思っていたら意外と3人目くらいでした

後ろに並んでたお年寄りの方が、足元のソーシャルディスタンスのシールやボーダーラインを全く無視して、息がかかりそうなくらいにぐいぐい距離詰めてくるので、3分くらいの間に2回注意されてましたが、聴く耳もってなくてちょっとホラーでした

紹介状を渡し、初診なのでコロナの問診表とは別で病状に関する問診表を書きました

たまたま保険証の切り替え中で、保険証がない状態だったので、新患登録がもしかしたら少しややこしかったかもしれないのですが、親切に対応していただけたのでよかったです

問診表を渡したら、少し待たされたあと、診察券と病院の案内図、今日する段取りなどが入った袋と、アラート機能がついた呼出し機を受け取りました

呼出し機は、昔のPHSが一回り大きくなったようなもので、円形の操作キーを押すと、どの検査室に行くかなどがシンプルな表記でわかる機械でした

他の科ではこの呼出し機のアラート音と、画面に出てくる部屋の指示を患者さんが自分で見て、診察室や検査室に向かったりするそうなのですが、眼科は目が悪い人が来るところなので、基本的に看護師さんが呼びかけしてくれていました

私の場合は診察室に入るときに2回と、会計カウンターに呼ばれたときだけ、呼出し機が稼働しましたが、あとは静かなものでした

受付セットをたずさえて、院内エスカレーターで3階の眼科に到着し、受付を済ませました

眼科受付カウンターのそばの待合椅子に腰かけて待つ事5分ほどで、看護師さんに呼ばれ、検査室の前へ移動し、おじいさんとおじいさんに挟まるようにして壁沿いの待合ベンチに座り、持ってきた本を取り出して読みだして2ページ目くらいで、もう検査室に呼ばれました

このとき、読みかけてた本が西加奈子さんの「サラバ!」上巻なんですが、タイトルが、病院で見かけるにはどうにもよろしくないよなと思って、カバーを裏返しにして読んでました

まず眼圧検査、それから視力検査という流れだったのですが、視力検査のほうで、左目視力が初回眼科受診時よりも出てなくて、重たいごつい黒縁の丸眼鏡に、どんなレンズをざらざら重ねてもらっても、視力が伸びなくて、矯正視力で0.7から0.5に落ちてしまっていました

白内障手術が可能になるレベルが、矯正視力0.7以下ということなんですけど、さらに進行していたので手術可能レベルが、音もなくひっそりと高まっていました

若いと進行が早いとは聞かされていましたが、白内障に気づいてから2週間あまりで0.2も削れていくのには、あまりにも早すぎない?って思いました

検査してくださった方も、紹介状の記載よりももうひとつ落ちた度数に少し戸惑っておられました

廊下の待合ベンチにはほぼほぼお年寄りばかりが自分の番を待って待機していて、コロナ禍のソーシャルディスタンスのルールで1人分席をあけて座る感じでした

目の病気で大学病院までくる人は、やっぱり若い人が少ないですね

診察室に呼ばれるアラートが呼出し機から鳴り、そこそこ大きな音だったので慌ててボタンをおして、部屋に入ると薄暗くされた中に若い医師がおられました

普通の眼科と同じく、患者さんと医師の間の位置に目を診る機械があり、それを使ってそれぞれ目のなかを診てもらいました

左目のキズと白内障を確認され、

目の奥まで確認する検査をいくつかして、それからもう一度診察室に入ってもらいますね、

ということで、瞳孔を開く目薬をさしてもらい、しばらく廊下の待合ベンチで待機してました

このときにたまたま隣り合わせた方が、タバコを水に浸したようなにおいの染みこんだタイプの人で、目薬がしっかり染み渡るように目をとじて嗅覚が研ぎ澄まされてしまう、このちょうどのタイミングで一番出会いたくない芳香の御方だったのでちょっとしんどかったです

待つ時間と比例して瞳孔がだんだん開いてきて、看護師さんによる瞳孔チェックでオッケーが出たみたいで検査に案内されました

診察室の隣の暗室で、目の奥を見る検査をされ、またしばらく廊下で待ち、

診察室向かいの別の検査室でかつて見た事のない2種類の目の検査をされました

目の大きさや奥行などのサイズを測定する機械と角膜の中の細胞がいくつあるのか数える機械でした

目が大きいねと、昔からよく言われるので、そういえばサイズ聞いてみたらよかったです

特に痛みとか生じるような検査がなくて、良かったです

それからまた暗室で、目の奥の写真を機械で撮影してもらい、次が診察というターンが来ました

ここまでざっくり書いてますが他の患者さんもたくさん待っておられるので、検査一通り受けるのに大体2時間くらいかかってます

丁寧に診てもらってる実感がすごかったので待つのは特に気にならなかったです

<strong>医師</strong>
医師

右目もわずかに濁っているので体質によるものかもしれませんね

まさかのワンペア~

いやー両目そろって白内障でした

キズがなくても右目が白内障だったので、若年性白内障に該当するかんじですね

なのでこのブログはカテゴリが若年性白内障にしてあるわけです

そんなわけで、

  • すでに左目が矯正視力でも0.5まで落ちているので保険適用の手術が可能な段階
  • 右目も白内障の兆候が出ているので、高齢者になるより前に症状が進行するのでいつかは手術になる
  • このK大病院で手術を申し込むとしたら2~3か月後に入院・手術(3泊4日~4泊5日)
  • 急ぐようなら、もう少し早い日程で、連携している他のクリニックにて、K大病院執刀医による白内障の日帰り手術も可能
<strong>医師</strong>
医師

手術は今日もう申し込めるけど、どうしますか?

とりあえず、来週、もう一度こちらに受診して、手術するかどうか、そしてどこで手術を受けるかを伝える形にしました

たまたま今、求職中の専業主婦という立場だったので、職場のことを考慮せずに済んだのはありがたかったです

しかし、そんな先の日程の手術を申し込んで待ってる間に左目の視力低下、大丈夫かな?とか、

日帰りでサクッと終わらせてしまった方が先の予定が立てやすくて良いのでは?とか、

ここの病院でやってもらう方が安心感はありそうだなぁ、とか色々思うところがあって、申し込みについて、とても即答はできなかったです

親や夫に相談しようと決めました

その診察が終わる頃合いをみて、診察室の裏の通路から別の若い医師がひょいっと出てきて、ひとつ、ボランティアを頼まれました

大学病院ということで、研究資料として採血をさせてほしいんです

と、頼まれたので引き受けました

献血行く程度には採血に抵抗がないからです、それに、人の役に立つのは嬉しいです

診察室の隣の部屋に移り、そこで採血がすんだら、もうその結果を伝えられることもなく、謝礼金が出ることもない、若年層で近視の人の遺伝子が対象の研究データの、そのひとつになるだけのものなんだそうです

遺伝子研究ということで、自分と、自分の家族についての近視や、目の病気があったかについての質疑応答もありました

私が小2で近視がきつくて眼鏡をかけ始めたことや、それがあまりにもビン底すぎるので、小4でソフトコンタクトレンズをつけ始めたこと、

母以外の家族はみんな目が悪いこと、父のその父である祖父は眼鏡をかけていたこと

みたいに、話していくうちに、父と母それぞれの兄弟の話になり、

親戚がドラゴンボールくらい各地に散らばっていて、集まりもなく、ろくに会った事がないので、

たしか父と母、どっちかが4人兄弟と5人兄弟なんだよな…

というくらいの認識で生きてきた私は、研究職の医師が紙に書き出す家系図を、未来の医学のために、なんとか完成させなきゃという気持ちに駆られ、いろんな記憶をたどってみたら、

父が4人兄弟で、母が5人兄弟というところに辿り着き、

思い出せる叔父、叔母の存在を家系図の糸の先におさめていったら、

母の5人兄弟にひとり、完全な空欄が浮かんできて、

まだ名前も性別も知らない親戚がいる…!!?

ということに35歳にして気付かされて、わりと本当にびっくりしました

ボランティアで家系図書き出してもらわなかったら本当に一生気付かなかったと思います

善い行いはするものですね

あとで母に確認したら、叔母さんがいるそうです

知らない、おばさん・・・

やっとサブタイトル回収できました、ここまで書くのに時間かかると思ってなかったです

(3カ月かかりました)

まぁそんな感じでボランティア活動も終え、病院をあとにしました

私の場合は保険証がその日まだ発行されていなかったので、次回来院時に保険証を持っていたらまとめてお支払いお願いしますねという説明を窓口でされました

外に出るとちょうど正午になるくらいで、アスファルトや白い建物で跳ね返った夏の日差しが、私の瞳孔の開いた目に刺さってきて、なかなかきつかったです

サングラスと日傘とネックファンに助けられつつ帰宅しました

病院についてから出るまで、初診はトータル4時間といったところでした

仕事を終えた親に報告したら、

  • 術後、何かあったときにすぐ救急外来で、ちゃんと眼科の先生が診てくれるから、K大病院で手術してもらったほうがいい
  • 他のクリニックだと、何かあったときに救急で診てくれない

という意見でした

親と話すまでは、

目が見えにくいままで、いつ手術日程に空きが出るのかわからないままで、あんまり長く待っていたくないし、さくっと日帰り手術にしよう、

と、ほぼほぼ決めていたのですが、安全度が高くて失敗の少ない手術とはいえ、自分の身に何があるかは誰もわからないし、それならアフターケアがしっかりしてるところに頼ったほうが確かによさそうだな、と気づかされたので、K大病院にお願いすることに決めました

夫は私の意見を汲んでくれたので、医療機関で働いてるあなたの親がそんなふうに言ってくれたのなら、それがいいねとうなずいてくれました

次話、「 」

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